『舟を編む』
「ことばの意味を知りたいとは、誰かの考えや気持ちを、正確に知りたいということです。それは人と繋がりたいという、願望ではないでしょうか。」
映画『舟を編む』を見ました。
「ことば」を拾い集めること、その範囲を、意味を、意図を、込められた想いを、また別の「ことば」を使って、読み手に「わかる」様に、表現していくこと。
辞書を作る、その作業の遠大な時間軸と、辞書への「信頼」を「護り遂げる」ための拘りと、「世に出す」までの裏側にある、たくさんの人の「想い」とが詰まって、「もの」がある。
泣き笑いしながら見ていました。
泣いた回数の方が、笑った回数よりもちょっぴり多かったかもしれません。
タケおばあさん、西山さん、松本先生が、馬締くんにかけた言葉が、抱いた想いが、なんだかとても眩しくて、それがとてもうらやましくて。
想いに向けられた信頼。
泊りがけのシーンはなんだか身近にもってる肌感覚があり、仕事に向き合う想いに惹かれる面と後ろめたさとが綯交ぜになり、もどかしさと、心強さとをもらいながら、襟を正す想いになりました。紙質ひとつとっても、そこに携わる人が本気になる。メーカーのお客さんと触れていると、日々のこと、想いがまた重なってきて。
うん、作中に表れる人たちの、それぞれの、背景に抱える物語を膨大に自分の記憶の中から引っ張り出しながら見ていたから、なんだかずしりずしりと。
ひとと、ものごとと、「向き合う」ことに、
なんだかあらためて、ものさしを授かった気がします。
素晴らしい映画でした。